ハロー、コーニシだよ。
最高の漫画家、藤本タツキよ。最高のマンガ「ルックバック」をありがとう!
ルックバックに隠された意味とは何か?
なぜ今のタイミングで藤本タツキはルックバックを描いたのか?
ルックバックの世界の秘密について考察していく。かなりのネタバレを含むので、まだルックバックを読んでいない人はブラウザバックしてくれ!
まずはこのルックバックの背景を解説していくぞ。
ルックバックの背景となっている事件
ルックバックは3つの事件を背景に書かれている
京都アニメーション放火殺人事件
事件概要:京都アニメーションに当時41歳の男が侵入し、ガソリンを建物1階に撒いてライターで着火。この事によりスタジオは全焼、社員36人が死亡、33人が重軽傷と、日本で起きた事件としては、過去に例を見ない大惨事となった。
登場人物の京本が大学に侵入した男に鋭利な工具で襲われている。
この京本が襲われている箇所は、表現の修正があった。しかしここで犯人は絵を描いている京本に対して強い怒りを表している。完全に無差別な八つ当たりだ!この犯行によって、京本は殺され、12人死亡、3人重症になる。
絵に怒りを持った犯人が美大生を大量殺人する表現は、まさに京アニ事件を彷彿させる。またこのルックバックの公開された日が2021年7月19日であり、京アニ事件と時期が被っている。
編集部が偏見や差別を助長する作品内の不適切な表現を一部修正していた(2021年8月2日時点)
英国自爆テロ事件
事件概要:2015年、イギリスのマンチェスターで開かれたアリアナ・グランデのコンサート。終了直後に自爆テロが発生し、22人が死亡、多くの負傷者が出た。
ルックバックのタイトル、P2の Don't、最終ページのIn Anger。
ここからOasisの 曲「Don't Look Back in Anger」 が浮かび上がってくる。この曲は英国自爆テロ事件の追悼ソングとして合唱されている。この「Don't Look Back in Anger」を訳すと「怒りとともに振り返ってはいけない」。歌詞では世界平和を願ったジョンレノンの歌詞をオマージュしている。
シャロン・テート事件
事件概要:カリフォルニア州ロサンゼルス市でチャールズ・マンソン率いるカルト集団マンソン・ファミリーによって1969年8月8日の深夜から翌9日に掛けて発生した殺人事件。女優でロマン・ポランスキーの妻だったシャロン・テートなど計5人が殺害された。
最終ページにこのシャロン・テート事件を題材にしている映画「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」のパッケージが描かれている。
3つの事件で京アニだけ…
ルックバックの背景となっている3つの事件を挙げた。このどれもが凶悪な大量殺人事件である。ルックバック内でも「山形美大生通り魔殺人事件」として同様の大量殺人事件が発生している。
この3つの事件の中でルックバックは京アニ事件に特に似ている。京本という登場人物が出てくることから、京本=京アニをイメージせざるを負えない!京アニ事件は他2つの事件と1点違う箇所がある。それは供養されていないという点だ。
英国自爆テロ事件は犠牲者を悼み、集会の最中に集まった人々から「Don't Look Back in Anger」が歌われている。この曲は労働階級だったOasisが作った曲で、「前向きになるために、起こってしまった事に対して後ろ向きになってはいけない、生き残った者として未来に向かうべきだ。」という意味が込められている。
マンチェスター市民は歌を歌うことで犠牲者の供養を行なった。
シャロン・テート事件はタランティーノ監督の映画「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」の中で供養されている。この映画でマンソン・ファミリーの3人は主人公たちにみんな半殺しされ、一人は火炎放射器で炭にされた。
現実では殺されてしまったシャロン・テート。タランティーノ監督は彼女を映画の世界(実際の出来事とは異なる命運を描く虚構)でハッピーエンドに導いた。
Once upon a time=
そして京アニ事件だが、2019年に起こってからすでに2年が経過している。犯人は捕まったものの、事件は長期化して未だ司法の場で裁かれていない。このような状況で被害者たちは供養されているのか?
2021年はコロナやオリンピックで話題が持ちきりになり、京アニ事件は忘れ去られてしまった。最高のアニメクリエーターが集まっていた京アニを供養せずに、ファンはアニメを見続けていいのか?チェンソーマンはアニメ化してもいいのか?
答えは否である。だからこそ藤本タツキはルックバックを描いたのだと私は思う。
京アニ事件の被害者を供養し、ファンの手でチェンソーマンをアニメ化させるのだ!
ストーリーは藤本タツキの生い立ち
藤野と京本のストーリは藤本タツキの生い立ちとリンクしている。
・藤野と京本の出身が山形県
・高校で読切7本
⇨中学から自分で考えた漫画を約7本同時に連載していた
・京本は大学で油絵を描く
⇨油絵学科に進学
・藤野はシャークキックを11巻まで連載
⇨チェンソーマン11巻まで連載
・シャークキック アニメ化決定
⇨チェンソーマン アニメ化決定
藤野と京本は藤本の写鏡のように描かれている。藤野と京本の名前を足して藤本が完成することから、この二人は藤本の生まれ変わりのようだ。
ルックバックは現実を描く
ルックバックの中には現実世界の人物やものがある。
How? pic.twitter.com/0s3QNUxnNG
— mana (@manarock69) July 26, 2021
そこで買った本「やさしい美術解剖図」や「基礎から身につくはじめてのデッサン」は実在する美術本になる。
また京本が通っていた山形美術大学は東北芸術工科大学(TUAD)である。
藤本タツキに由来のある場所がリアルに描写されており、同じ場所を藤野と京本は歩んでいる。このルックバックは藤本タツキの歴史を再構築した現実である。
京本は現実を生きられない
この現実を生きる物語の中で一人架空の世界に生きる人物がいた。それは京本だ。藤本タツキがいないのに、京本はチェンソーマンやファイアパンチの背景ばかりを描く。その背景はルックバックの世にあるはずのない記憶である。
藤本タツキの絵に囚われた京本はその背景を描くために大学へ進学する。しかし京本が大学の課題でこの世界の物体を描くと物体は抽象化して、円柱は四角柱になる。現実がアベコベになっている。
この京本がチェンソーマンの背景を描くのはマンガの世界で生き続けるという伏線だったのかもしれない。
マンガの世界で京本は助かる?
過去に送られた4コマの切れ端だが何かおかしい?
藤野が送ったコマの切れ端(右)と京本が手にしたコマ切れ端(左)の形が異なる!
そして、この「出てこないで!!」のコマによって、京本と藤野が出会う運命が変わってしまった。
また京本の描いた4コマが藤野の元に届けられ、藤野の絶望を希望へと変える。
このルックバック最大の怪奇現象について、語らずにはこの考察は終われない。
遅れてやってきたヒーロー
異世界で京本を助けた藤野先生!この藤野先生が救急車で運ばれるシーンは映画「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」にも出てくる。この救急車で運ばれる男は主人公リック・ダルトンの専属スタントマンであるクリフ・ブースだ。リック・ダルトンとともに映画の世界に登場する架空の人物であり、彼らの活躍によってシャロン・テートは映画の中で助かった。
つまりクリフ・ブースは架空の世界に生きるヒーローになる。それと同じシーンで描かれている藤野先生も架空の世界(マンガ)で京本を救うヒーローとなった。
この藤野先生は何者なのか?
架空の人物、キックが得意技、そして藤野の分身…
顔をサメで隠しているシャーク様!
チェンソーマン≒シャークキックのようなマンガとなっている。しかしタイトルはシャークマンではなく、敢えて技名のシャークキックにしている。また「蹴って蹴って生き延びろ!」とポスターに描いてある。シャーク様はマンガの中で悪者を蹴りまくっているようだ!
藤野はシャーク様と同じポーズで大量殺人者を蹴り上げ、京本の命を救っている。マンガの主人公だから空手を習っていない藤野でも殺人犯を成敗することができた!
『背中を見て』の作者は藤野歩
『背中を見て』には、特徴的な筆跡がある。
『背中を見て』の作者は京本になっている。過去の京本の筆跡を見ると、藤野が描いた京本に筆跡が似ている("京"の口が角張っている)。京本が書く”京”は口が丸くなっている。
また『背中を見て』の斬ってやるの”や”が特徴的な形をしている。
この”や”が小学時代に藤野歩が描いた4コマと同じ筆跡になっている。このことからも「背中を見て」は藤野が描いている。
少年ジャンプはタイムマシン!
少年ジャンプはずっと変わらず少年誌の頂点として君臨している。ジャンプを読むことで日本人は何度も子供時代に戻ることができる。
藤野がジャンプを手に取り、挟まっていた4コマを破るところから異世界が始まる。
異世界は小学6年生の卒業式からになる。そのパラレルワールドはマンガの世界!京本を生かすために作られた世界で、藤野の分身シャーク様がキックで悪を成敗する。そうしないと京本を供養できない。
ここで意外なレスポンスが発生する。
それが「背中を見て」の4コマである。京本の漫画でびっくり!
「背中を見て」は京本作になっているが、上で説明したように藤野が描いたマンガである。京本の部屋から来たことから藤野はまさか京本が生きているのか?と部屋を開ける。しかしそこには何もいない…本当に?
いるではないか、シャーク様が!シャーク様=藤野先生はマンガの世界で悪を倒した。しかしそれだけでは片割れの藤野歩が救われない。いくら京本を供養できても京本のいない世界では藤野歩が苦しむ…
藤野歩を救うため藤野先生は漫画を描き、窓の風で4コマを送った。京本があの世で救われたことを藤野歩に知らせるために。
藤野歩は京本との過去を振り返る(ルックバック)。記憶には二人でマンガを書いた日々がある!二人のマンガは超大作となってこれから世界に革命を起こす!同じような被害者をこの世に出さないために。
感想
現時点で私が感じているルックバックの考察だったが、最後の考察はまだまだブラッシュアップができそう。
またルックバックにはよくわからない箇所がいくつかある。
1:p28の卒業黒板の上の空白?なぜここに空白があるの?
2:時系列が意図的にバラバラ。小学4の時に2012年発売の「基礎から身につく初めてのデッサン」の本を買っている。京本のAO入試も2012年でおかしい。あとカレンダーもおかしい
3:P78は日付を黒枠で囲っているのに、P108では囲っていない?ここの差は何?
まだまだ楽しめそうなルックバック。気が付いたことがあればコメントよろしく!
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